A昔より盛り上がっていない
我が子に受験させようと考えている高校の文化祭を見に行ったが、盛り上がりがなく、低調なのに驚いた。親の私が高校生の頃は、この何倍も盛り上がっていたが。
低調なのは仕方ない
おそらく、盛り上がっていないのは事実です。現在小6(あるいは中3)の保護者が高校生だった20年前、30年前と比べると、文化祭の盛り上がりは95%の学校で低下しているでしょう。
理由はいくつかあります。
(1)
集団で一つのことを成し遂げるのが苦手な生徒が増え、睡眠時間を半分にして準備をするような力が入った参加団体が激しく減った。
(2)
カラオケ、テレビゲームなど、学校の外で楽しいことが大幅に増え、学校に楽しさを期待しない「脱学校」とでも言うべき生徒が増えた。
(3)
40人以上の大勢の生徒を束ねるリーダーが、ほとんどいなくなった。
(4)
20年前と比べて来場者や後夜祭に残る生徒の数が少なくなった。昔は後夜祭のフォークダンスに300人集まって3重の輪ができる高校はざらにあったが、現在は人が集まらずフォークダンス自体ができない。
ですから、昔と今の文化祭を比較するのは、あまりにも酷な話です。
生徒増と高校進学率上昇のために東京周辺に新設校が急増したのが昭和48年ころからです。新設校はゼロから文化祭を始めるので、来場者は伝統校の5分の1くらいで、盛り上がりも比例して低調です。
伝統校も昭和45年ころの学園紛争の影響もあり、昭和50年以降は全国的に活気が失われていきました。
今これを読んでいる保護者の方が、昭和40年代(またはそれ以前)の伝統校に通っていたのでしたら、最近の文化祭は明らかに活気がなくて物足りなく思えるはずです。なぜなら、「文化祭が盛り上がっていた時期」の、「特に盛り上がっていた高校」に通っていたことになるからです。
昔と盛り上がりを比較しても、全く意味なく愚痴りたくなるだけですので、昔との比較は避けましょう。そして意味のない愚痴を避けるためにも、他の同じような学校も見学しましょう。たとえば第一志望校を明治大明治にしている中学受験の男子でしたら、保護者の感覚によっては明大明治の文化祭は批判的に映るかもしれません。そこで、同じような偏差値・伝統の男子校を見学しましょう。そうすれば「明治大明治は他校より文化祭の中身があって生徒は頑張っている」とわかるはずです。